emigrate/immigrate

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 ' the relationship between England and Ireland ' についての話もこれで3回目になります。メッセージをいただいた方がこれを知りたくなったきっかけの1つが、映画の ' Angela's Ashes ' だそうです。 「悲惨でした ...。」と書いてありましたが、確かにそうですね。原作にも、色々幼児期の作者を惨めにしたものを挙げ、 ' Above all -- we were wet. ' と書いてありますが、映画をみるとそれがとてもよく感じられます。全編雨という感じでした。

 題名の ' ashes ' というのは(ash の複数形です)火葬後の「遺灰」を意味します。小説 Angela's Ashes では作者の母 Angela はまだ死なず、次作の ' T'is ' の最後で亡くなりますが、映画ではどうだったでしょうか。

 私がこの映画の中で忘れがたい場面は、Angela に原作にないセリフを言わせている所です。Angela はもう子供は欲しくないので夫の要求する妻の義務を拒否します。極貧の子沢山の生活、プライドばかり高くて生活能力はない夫、そして避妊など許されぬ Catholic の信仰、現代の日本人にはもっともな理由です。夫はそれは「妻の義務」なのだから、拒否したりすると「地獄」に落ちるぞ、と脅します。これは現代の日本人には笑ってしまうしかない戯言ですが、多分作者の育った環境ではある程度のインパクトのあるおどしなのでしょう。Angela は答えて曰く、' Perhaps we're already ...... ' 。つまり、「もしかしたら私たちのいるここがもう地獄なのかも .....」。これはうまいセリフです。原作にある様々な悲惨な生活の場面をすべてひっくるめて暗示しています。原作では「もう1人こどもが増えないのなら、永遠に呪われようともそちらの方が魅力的だ」と言っています。こちらの方が力強い感じです。

d0086231_2137136.jpg England-Ireland という主題で書いていると、何となくこの方面に敏感になっていたのか、いろいろなアイデアが次々湧いて来たり記憶がとつぜん蘇ったりといったことがあり、大変助けになりました。昨日も偶然見た古い映画が、 Ireland が舞台の England の占領下の出来事についてのものでした。うれしい暗合です。

 その映画は ' Ryan's Daughter ' です。

 1970年製作の古いものですが、ぜひぜひ見ていただきたい素晴らしい作品です。その自然描写の美しいこと。海、浜辺、林の中、タンポポの綿毛、馬のたてがみ、とくに嵐の夜村中で、難破した船から流れて来たのでしょうか、武器を海辺に引き上げるところ、等々、きらめく光に満ちた Ireland 。そして、そのなかに繰り広げられる悲しく重い人間模様。

 1988年に行った Ireland の Limerick という町(市かもしれません)でのことを思い出します。 Limerick も町の中心部で川が交差するそれはそれは美しい所で、公園で会った若い女の子達とおしゃべりをしました。私が Limerick の美しさを述べそんな所に住む彼女達の幸運のことを言うと、彼女達は「そんなことは全くない。私たちはどこか別の所に行きたい。」と言っていました。それは勿論予想された答えではありました。 Ryan's Daughter の Catholic の古い土地での「存在のおさまりの悪さ」が重なって聞こえます。

 さて、今日の主題に入ります。England-Ireland の歴史ですが、1921年に Ireland は England の自治領になり、1949年に Northern Ireland を残して南部は独立します。英国の正式な名称は ' The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland ' といいます。しかし、Northern Ireland では未だに独立を目指す Nationalists たちもいて、England 側の Unionists との間の一触即発の事態も絶えたわけではありません。

 Angela's Ashes の書き出しは、' My father and mother should have stayed in New York ..... ' とあります。「私の両親はニューヨークに留まっているべきであった。」というのです。そうしないで Ireland に帰って来てしまったのです。彼らは emigrants でした。

 外国旅行をすると空港などで immigration ( immigrate /'ImIɡreIt/ 「ミグレイト」の名詞形)という語を見ることがあると思います。Heathrow Airport ではよく長い行列( queue )ができる所です。英語で入国目的、期間などを訊かれます。

 emigration ( emigrate /'emIɡreIt/ 「ミグレイト」の名詞形)は逆に自分の国を出てどこか別の国に移住することです。Angela's Ashes の作者の Krank McCourt の両親がそうでした。Riverdance でも emigration の結果 Irish dance とアメリカのストリートダンスとの交流が演じられるなど、貧しく閉鎖的な社会でもある Ireland の悲しいキーワードになっていると思います。

d0086231_118517.jpgd0086231_1184041.jpg アメリカで成功した emigrant も沢山いて、Kennedy 一家など、悲劇に見舞われましたが、その代表でしょう。 Gone With The Wind の主人公 Scarlett O'Hara も父親が Irish だという想定だったと記憶しています。

 England と Ireland との関係はこれで終了します。ありがとうございました。
by MichikoSimon | 2006-11-30 00:39 | 英語 | Comments(2)
Commented by みつ at 2006-12-03 16:26 x
はじめまして。こうじょうコム管理人のみつと申します。
英語について書かれているの読み書き込みさせて頂きました。コメント欄にすみません(^^;)。
今、多くのブロガーの皆さんのご協力の下で、雑誌型ブログリンクサイト「こうじょうコム」( http://kojo-com.main.jp/ )を運営しているのですが、もしよろしければリンクさせていただけないでしょうか?
「読むブログリンクサイト」として主に新聞・雑誌形式で皆さんのブログを紹介しています。
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お時間のある時にでもご覧頂けると幸いです。
もし迷惑と感じられましたら大変申し訳御座いませんでしたm( _ _ ;)m。
Commented by MichikoSimon at 2006-12-04 10:52
リンクのお誘いありがとうございます。
より多くの方に読んでいただけるよう頑張っております。
ご提案お受け致します。こちらで何かすることはありますか?
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