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militia ストレスの移動

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militia ストレスの移動_d0086231_2224998.jpg 近頃 BBC ニュースで ' militia ' という言葉をよく聞きます。中東やアフリカ関係のものによく出てきます。

militia;
a group of people trained as soldiers, who are not part of the permanent army

 ということで、ご想像通り ' military ' という言葉からの派生語です。「民兵」とか訳されるのでしょう。

 今日の問題はこの語の意味ではなく、発音です。

military /ˈmIlətəri/
militia /məˈlIʃə/

 問題はこの ' militia ' という言葉が日本人の耳にはどうしても「マリシャ」と聞こえてしまうということです。スペルと合いませんよね。「リタリー」からきた言葉なのに「リシャ」とはこれいかに? その理由を説明します。

 「ストレスの移動」がその答えとなります。「ストレス」というのは、1つの語の中で強く言われる音のことです。2音節以上でないとこれは起こらないとか、以前にも何度か書いたと思うのですが。

 military の中では第一音節の ' mi ' にストレスが来ます。すると、他の音節は弱く言われることになり、その母音は ' ə ' の音になることが多いのです。 ' ə ' の音は弱いし、速く言うことができるからです。ただし、 ' ə ' の音に元の音(それにストレスが来た時に発音されるであろう音)が混じることもあります。第二音節の ' li ' は実は ' ə ' と ' I ' の混じった音色で、「かすかに言われたイ」とも言える音です。

 ところが、militia になるとストレスは第二音節に移ってしまいます。そこで、第一音節の ' mi ' は /mə/ となって、この場合は元の音があまり混ざらず、日本人には「マ」のように聞こえる訳です。
by michikosimon | 2008-05-12 22:03 | イギリスにて
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