英文 correction 時には原文の跡もとどめぬ程

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d0086231_1444483.jpg 英文添削という作業はいつもすんなりといくわけではありません。作者が「何を言いたいのか」がこちらにわかっていないとどうにもなりません。

 「何を言いたいのか」in Japanese をそのまま in English に直訳するということも多くのケースでうまくいきません。「何を言いたいのか」in Japanese が idiom(日本語の)であることも多く、たいていの人はそのことに気付いてもいません。

 英語の問題ではなく、日本語の問題であることもあります。つまり、日本語で言っても他の人にわからないということもあります。そういう時にはまず日本語を整理して、一番いいのは、それを小中学生でもわかるやさしい日本語に翻訳することです。

 さて、つぎの英語は何を言おうとしているのでしょうか?

I have been feeling the irony of fate when I have lived in England, because I didn't like English when I was a student.

 100 % の自信はありませんが、「イギリスに住んでいる今運命の皮肉(?)を感じている、何故なら学校にいた時は英語がきらいだったから」でしょうか。

 学校では将来イギリスに住むなんて思わなかったから英語がきらいだった(きらいというより一生懸命勉強しなかった?)、または、英語ぎらいだった私が今イギリスに住んでいるなんて、なんという運命の皮肉よ!ということでしょうか?

 ' the irony of fate ' という言葉がまずひっかかります。' irony ' も ' fate ' も辞書を調べていただければおわかりのように、このような situation に使えないことはないのですが、何かそぐわない気がします。英語がきらいだった人がイギリスに住むことになるというのはそれほどおおげさなことでしょうか? 

 一般的に上のような抽象的な言葉を使って曖昧にものを言うことはお勧めしません。これから英語を学ぶつもりならなおさら、その抽象的な言葉を具体的に言う色々な表現を工夫するべきだと思います。遠い昔学士位のための論文を書いていた時の担当教官の指導は「術語でごまかすな」でした。術語を使ってもそれをやさしく言い直せるならわかっていると言えるのですが、なんとなくわかっている雰囲気をかもしだそうとしているだけの論文も多いということで、そういうことは専門家が読めば一目瞭然だということでした。口頭試問はそういう時には、それを作者に悟らせるために役立つとも聞きました。

 よけいなことかもしれませんが、' irony ' は feel (感じる) ものではなく、もしどうしてもこの言葉を使いたいのであれば、' It's an irony ..... ' とするべきです。冠詞にも気をつけてください。

 さて、この「多分作者が言いたいこと」を「小中学生でもわかるやさしい日本語に翻訳する」とどうなるでしょうか?色々な言い方が考えられるでしょうが、案として、1,「昔英語がきらいだった。でも今私はイギリスに住んでいて苦労している。きらいでももっとやっておけばよかった」、2,「昔英語がきらいだった。でも今私はイギリスに住んでいる(苦労しながらなんとかやっている)。人生なんと面白いことか!」。ちょっとニュアンスの違う2通りの解釈です。

 1 では should have studied more が、2 では How funny ( strange, unforeseeable, unpredictable, その他何でも心に思う形容詞) it is ! 、又は英語の idiom を使って、That's life ! などを使うという手もあります。irony of fate よりも意味がずっとはっきりします。

 この英語の最大の問題は実は「時制」だと思うのですが、今日はまず「その他の問題」を片付けておいて、明日時制をします。 
by michikosimon | 2009-01-08 15:41 | イギリスにて | Comments(0)
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