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English afternoon tea 映画

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 昨日のブログを書き終わった後になって、イギリスのお茶や食事についての思い出が次々と湧いてきました。
 
 今の段階では、系統立てて話を進められる以前のとりとめのないものでしかないのですが、ここに書き留めておきたいと思います。何回かにわたると思います。どうぞ御辛抱ください。

 English afternoon tea はただ午後にお茶を飲むという以上の歴史的、文化的意味があるようです。そもそもその具体的イメージをあまりお持ちでない方には、以下に紹介する手軽に手に入る映画や本などがあります。これらはイギリス滞在中に私自身見たものです。

d0086231_23411989.jpg 私の中にある English afternoon tea のイメージのうちかなり大きな部分を占めるのは、The Impotance of Being Earnest というお芝居で見たビクトリア朝のものです。映画も10年程前に見たので日本でも探せばあるかもしれません。この映画はたしか、afternoon tea の席で、コルセットで締め上げた大きな袖のドレスとデコレイティブな帽子の婦人2人が cucumber sandwiches とお茶にいれる砂糖のことで議論をしているという場面で始まると記憶しています。ホストの方の1人が執事がそれらを用意しなかった不調法を叱っていると、ゲストの方のもう1人が、「どちらも昨今の afternoon tea では fashionable ではない」、「私どもでは砂糖なしのお茶と bread and butter を出します」と言っている .......。

 d0086231_045464.jpgEnglish afternoon tea は多分ビクトリア時代の有閑階級の間での習慣であるという(私の思い込みかもしれませんが)ことから、Dickens, Jane Austin などの英国作家の小説の中にも登場すると思います。そうそう Virginia Woolf の Orlando (これも Sally Potter 監督で映画化されました)にも確かあったと思うのですが。

 d0086231_23425053.jpg日本の現代小説にもあります。数年前の出版の水村美苗作「本格小説」にもスノビッシュな姉妹が語り手を high tea へ招待する場面があります。日本語で書かれたものではありませんが、Kazuo Ishiguro の The Remains of the Day (日の名残)にもあるのではないでしょうか。これも映画化されましたね。

 cucumber sandwiches と bread and butter は 簡単にできる savoury(前回でてきた語です。憶えていますか?)な snack なので今でもよくお茶の席にでてくるのではないでしょうか。極く薄くスライスしたパン(ただし耳は付けておきます)にバターを塗ったものを少しずらせて重ねて皿に並べただけのものが bread and butter 、その2枚に薄切りのきゅうりを塩をしないではさんだものが cucumber sandwiches です。簡単ではありますが、作り立てでないとすぐ乾いてしまうので、出来合いの biscuits などよりは上等のおもてなしになるでしょう。
by MichikoSimon | 2006-10-16 00:01 | イギリスにて | Comments(0)

English afternoon tea

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 まあ、素敵なお茶のテーブルですね。中央の白いバラはアイスバーグ( Iceburg )でしょうか。こんな写真を見ると自分でもこういう English afternoon tea ( English high tea とも言う)をしてみたくなります。

 English afternoon tea というのは、午後5時ごろとる食事で、紅茶と冷たい軽食、ケーキ、ビスケットなどです。この写真ではスコーン、果物のタルト、パウンドケーキと生のイチゴしか見えませんが、サンドイッチ、冷めたキッシュなど甘くない ( savoury )ものもテーブルに上ります。

 多分日本の皆さんの中には、イギリス人の多くが日常的に English afternoon tea を楽しむような暮らしをしている、とお考えの方もいらっしゃると思います。でもそれを期待して英国に行くと少しがっかりするかもしれません。

 日常的に English afternoon tea をする人は(個人的に知っている人はいませんが、そういう人もいると思います)、多分昼食が dinner で温かい(直前に調理された)食事をし、その残りのロースト肉で sandwiches を作ったり、残ったパイやキッシュを小さめに切ってケーキ類と一緒にお茶の席を用意しているのでしょう。

 これは日本式に考える「お茶」というより「食事」です。もちろん5時に食べたきりではお腹がもたないのでこの後夜の9時頃もう1度何か簡単なものを食べます。

 けれども、午後5時ごろという時間、そして昼食が dinner という習慣も、普通の中流のイギリス人(午前9時半から午後5時半まで働く)には無理です。彼らはたいてい核家族なので、もしできたとしてもテーブルがさみしいでしょうね。(デュモーリアの「レベッカ」だったでしょうか、彼女1人のお茶のテーブルにも召使いがいろいろ並べるすぎるので「必要なだけにするように」と言っても又同じようにする、という場面があります)1人分に必要なだけ並べてもさまにならないのですね。

 こういうことの可能な、働く必要のない上流階級のイギリス人は今もこの習慣を守っているのでしょうか。前に挙げた「ムッソリーニとお茶を」や「80日間世界一周」などには、どこでもどんな状況ででも英国の習慣を曲げない、という場面があったように思います。両方とも随分前の話ですが。

 こういうことが週日にはできない現代の働く人たちは、週末に楽しんでいるのではと思う方もいるかもしれません。この事についてはまた回を改めて書きます。どの食事が dinner なのかということについても別の日に。

 ただ、稀であるとはいっても、今になって考えると「あれは English afternoon tea だったのかもしれない」と思うようなものは私も何回か経験しました。1988年から89年にかけてイギリス中部のコベントリーという所でホームステイしていた時のことです。奥さん( landlady ) がアイルランドのカソリックの出身なので、大家族的な要素のある家族でした。よくパーティーをする人たちで、たいてい夫妻の兄弟姉妹とその子供達、時には両親も来ました。たいていは夜7時頃からですが(皆ほとんど勤め人でしたから)、日曜など少し早い時間になることもありました。たぶんあれがそうだったのですね。私は当時は会話もあまりよく聞き取れず理解できなかったのでしょう。

 もし皆さんがイギリスで English afternoon tea を楽しみたいのなら、手っ取り早いのがホテルやレストランでのそれです。予約して、中華料理のようになるべく大人数で行ったほうがよいでしょう。そのほうが楽しく、会話も皿数も多くなると思います。家でする afternoon tea に招待されたなら大ラッキーです。
 
 もっと手軽に少人数でも楽しめる似たようなお茶については、これも別の機会に。

 ところで、私は自分の実際見たり聞いたりしたイギリス社会の様子、それに修了した社会学の記憶をもとにこのブログを書いています。これが絶対にどこででも真実であるとは言いません。イギリスについての随筆を何冊も出していられる方のご覧になった、かなり上流の方向に寄った英国社会とはまた違うと思います。

 ではまた明日。
by MichikoSimon | 2006-10-15 00:14 | イギリスにて | Comments(2)